あついコーヒーとぬるい二人。 

遠距離生活の姉妹、どうしてこんなに仲良いのか

菜切り包丁が欲しい

先週観た映画について

 

 

 

 

たまにふと、「食べものが出てくる映画を観たいな」と思うときがあって

 

 

作品の中で象徴的な1品やレシピが出てくるものでもいいし

(「アメリ」とか「かもめ食堂」とか)

 

調理や食事のシーンが印象的なものもいい

(「南極料理人」とか「ホノカアボーイ」とか)

 

 

ちょっと探すと色々出てくるし、検索するたびに目に入る有名映画もあるんだけど

個人的な好みとして、「シェフ」とか「料理人」みたいなプロが出てくるよりも、生活の中で扱われる「食事」の場面や食材そのものに心惹かれる傾向にある

 

漫画の好みにも通ずるところがあるな、これは

派手な描写、目を引くドラマチックな展開よりも、観る側があれこれ考えを巡らす余地・余白のあるものがすきなんだろうね

 

 

 

 

前置きが長くなったけど

 

観たのは「青いパパイヤの香り」という映画

 

 

ベトナム系フランス人の監督の長編デビュー作だそう

セットを作って全部フランスで撮影されたものらしい、へー!

 

 

 

使用人としてお金持ちのおうちに住み込みで雇われることになった10歳の少女ムイのストーリー

 

物静かに真面目に働き続ける少女の目に映る雇い主一家の様子をメインに見せていく前半部分と

大人になって、別の家へ移って同様に使用人として働くようになったムイのその後について見せる後半部分

 

終始淡々としていて、セリフが少ない

虫や動物の鳴き声のほうが印象的で、湿度も気温も高いベトナムの空気を感じられるようだった

これ全部セットか、ほーう

 

 

観てよかったなあ

こういう映画すごくすきだ

 

 

 

使用人として雇われるとなると、これはご主人様からの嫌がらせとか陰湿なあれこれとかあるのでは…と身構えてたけど、なんと一家の家計を担う女主人が心優しくていい人!

その上、先輩の使用人のおばちゃんもめちゃ優しいときたもんだ

初日の朝、早く目が覚めたムイに「もう少し寝ておいで、かまどに火を入れたら起こすから」なんて言ってくれちゃう

仕事の教え方も優しいしテキパキしてるし、頼れるお母さんて感じ

親元を離れて働くムイは嬉しいだろう…

中盤で心がぎゅっとなるような場面もあったりして、女主人とムイの心の交流みたいなものはけっこう印象的

 

 

 

で、肝心の「食べもの」「調理」なんですけど

ムイが青いパパイヤをサクサクと叩いて細く細く削いでいくところとか、鍋でお肉と青菜を炒めるところとか

こういう、家事労働・作業としての「料理」のシーンがとてもよかった

アジアのごはん食べたくなるね、あたしも青パパイヤ叩きたい

 

 

全体的に、話はすごく静かに進んでいく

ある1人とその周囲の人間たちの生活をただただ眺めているような感じ

混乱や悲壮をもたらす出来事は起こるけれど、ムイはただそれを受け入れながら働き続けるだけ

自発的なアクションや気持ちの発露みたいなものがムイ本人からはほとんど無くて、そういう意味では観てる人が退屈だとか思う部分なのかもしれないし、かなり好みが分かれる作品だと思う

 

 

雇い主が優しかろうが何だろうが、使用人である以上は何もかも受け入れるのが当然のスタンスで、そこに選択肢はないのだろうなー

そのこと自体に虚しさを感じないのは、ムイが終始淡々と真面目に働く様子が、見ていて気持ちいいからかな

 

後半部分は、大人になった彼女の気持ちが今まで以上に見えづらいところもありつつ

この子は平穏な暮らしと居場所があれば多くは望まないのかもなあなどと思いました

10歳のときから一貫して、あらゆる出来事への他人事感が強いというか

使用人として日々を生きるってそういうことなのでしょうね

 

 

 

気になったのは、BGMがすごく謎めいていたこと

なんか特に何でもないシーンなのに、不穏なBGM流れたりするから若干混乱したよ笑

後から人の感想読んでたら「セリフが少ない分、ムイの心理描写がBGMに乗っているように思いました」的なこと書かれてたけど、そうか?!そうなのか?!

 

 

 

 

 

 

検索しなければ知ることがなかったタイトルだと思う

観る機会があってよかったな

 

前々から思ってたことだけど、観終わって改めてでっかい菜切り包丁欲しくなっちゃった

ああいうのでじゃんじゃん野菜切りたい